転職や起業などが人生の選択肢として当たり前になりつつある現在。美味しいものが好きな方は、「飲食店を経営してみたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、実際に飲食店を開業するとなると、気になるのは開業資金の問題です。
どんな事業もリスクゼロで立ち上げることはできません。そこでしっかりとお金についての知識を身につけておくことが重要になってきます。
今回は、お店の開業にかかる費用の相場や開業資金の調達方法、どうすれば開業資金をおさられるかなど、一人で飲食店の開業を考えている方の手助けになるような内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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「2022年新規開業実態調査」によれば、2022年開業にかかった費用の相場は、1077万円でした。飲食店の開業資金は、平均1000万円〜1200万円必要であると言われています。
その内訳は、物件取得費、設備投資費、運転資金、生活資金の4つです。
そのうち物件取得費と設備投資費は、開業前に必要なコスト(イニシャルコスト)で、運転資金と生活資金は開業後に必要なコスト(ランニングコスト)に分類できます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
◾️物件取得費
飲食店を開業するにあたって、ほとんどの場合はテナント契約をし、店舗をもって営業することが必要になってきます。
物件取得費とは、そのテナント契約までに発生する費用のことを指します。具体的には、保証金、礼金、仲介手数料などが挙げられます。
物件取得費の中でも高額なのが「保証金」です。
保証金とは、契約中の家賃滞納や部屋を損傷させた修理費等を担保するために、契約の際に支払わなければいけないお金のことです。そのため、契約終了後に債務がなければ、返金されるのが普通です。
この保証金は、毎月の賃料の3ヶ月分〜10ヶ月分支払うのが平均的です。物件によってかなり支払う額が変わってくるので、注意が必要です。
◾️店舗投資費
契約時、テナント内は、鉄筋コンクリートや配管が剥き出しの状態の「スケルトン物件」であることがほとんどです。
店舗投資費とは、テナントをお店として使えるようにする費用のことを指します。具体的には、内装工事費、外装工事費、厨房設備、その他備品などが含まれます。
店舗投資費は、開業資金の最も大きい割合を占めます。
しかし、内装や外装をコンセプトにそって作り込んだり、高価な調理器具が必要な場合、より多くの費用が必要になるため、飲食店のジャンルやコンセプトなど資金調達の段階から、しっかり考えておくことが重要になります。
◾️運転資金
運転資金とは、事業の運営を続けていくために必要な資金を指します。具体的には、
仕入れ代金、人件費、家賃、水道光熱費などが含まれます。
物件投資費や店舗投資費は、イニシャルコストなので一度しか支払わなくても良いですが、運転資金は事業をしている限り払い続けなければなりません。
飲食店の経営が軌道に乗るまでにかかる期間は、平均的に6ヶ月と言われています。6ヶ月以内で、経営が安定するお店は少なく、6ヶ月、または6ヶ月以上かかってしまうケースがほとんどです。
そのため、運転資金は最低でも3ヶ月分は用意しておいたほうが良いでしょう。
◾️生活費
開業資金を見積もる時に、見逃してしまいがちなのが「生活費」です。
生活費は、事業主とその家族が事業が軌道に乗るまで生活していくのに必要な費用を指します。具体的には、食費、住居の家賃、住居の水道光熱費などが含まれます。
事業を起こしてしまえば、その事業から得た利益で生活費をまかなえると甘く思っていてはいけません。
開業した後に、生活費に困らないためにも事業計画の段階から、生活していく上で必要な費用を綿密に調べておくことが大切です。
「開業資金が少ないとダメなのか」と考えている方も多いかと思われます。
もちろん業種、業態によっては、開業資金が少なくても問題なく営業ができるという事はあります。しかし、ほとんどの場合、開業資金が少ないと開業後の経営が苦しくなってしまいます。
その理由は、開業資金は、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストも含んでいるからです。
先ほども書きましたが、飲食店の経営が安定してくるのは、開業後約6ヶ月です。
確かに、オープン当初は新しさに惹かれて多くの顧客が来店するかもしれませんが、その状況がいつまでも続くとは限りません。基本的に飲食店は、ある程度の時間をかけて顧客の信頼を得ていかなければいけません。
開業資金が少額だと、初期投資で開業資金を使い切ってしまい、飲食店が軌道に乗る前に、水道光熱費などランニングコストが支払えなくなってしまったり、破産してしまったりする可能性が考えられます。
実際に、「2022年度新規開業実態調査」によると、事業主が開業時に最も苦労したことは、一位「資金繰り、資金調達」(57.1%)と二位の「顧客・販路の開拓」(47.4%)よりも10%も多い結果となっています。
開業資金はどのように調達するのが一般的なのでしょうか。
「2022年度新規開業実態調査」によると、2022年開業資金の平均1077万円のうち、90%以上が「自己資金+金融機関等からの融資」で占められています。
それぞれの平均額は自己資金が271万円、金融機関等からの融資が882万円です。
つまり、ある程度の自己資金を用意した上で、金融機関等から融資を受けて開業するのが一般的であることが分かります。
具体的にどこから、どのように資金を調達すれば良いのか詳しく見ていきましょう。
◾️銀行
銀行からの融資は、その他信用金庫やビジネスローンのものよりも利息がかなり安いです。その分、リスクが低いということが言えます。
また、長期での返済計画が立てやすく、余裕を持ってお金を返していくことができたり、融資してもらえる金額が大きいというところも魅力的です。
ですが、銀行も事業主を選びます。多くの事業主にお金を貸し、そのほとんどが失敗ということになれば、銀行は貸倒になってしまいます。それを防ぐため、銀行は融資の際に厳格な審査を設けており、事業者はこれに通過しなければなりません。
◾️政府系金融機関
政府系金融機関とは、日本国内の経済発展や中小企業の活動支援のために、政府が設立した銀行のことを指します。政府系金融機関が行っている融資も多くの種類があります。
中でも、これから開業を考えている方におすすめなのは、日本政策金融金庫が運営している「新創業融資制度」です。
この制度の融資限度額は、3000万円で、運転資金として1500万円が含まれています。この融資制度の対象者は、これから新たに事業を始める人、創業してから二年以内の人となっています。
しかし、その際は、新たに事業を始める人、創業してから一年以内の人には、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が確認できるということが、条件として設定されています。(参考:日本政策金融金庫-新創業融資制度、https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.htm、2022/12/26閲覧)
◾️補助金・助成金
融資からは脱線しますが、リスクゼロで資金調達をしたいと考えている方は、補助金や助成金を利用するのも一つの手段です。
補助金や助成金も、国が運営しているものから、地方自治体が運営しているものまで種類は様々あります。今回は、おすすめの補助金を3選ご紹介したいと思います。
①創業支援等事業者補助金
創業支援等事業者補助金は、産業競争力強化法に基づき設けられた補助金で、新たな雇用の創出を促し、地域経済の活性化を図ることを目的としています。
この補助金の対象は、新しく事業を始める個人や企業です。公募は、4月から5月頃にかけてあることが多く、なんと最大補助額は1000万円と大きな金額になっています。
ただし、従業員の雇用が、一名以上必要であり、一人でお店を回そうと考えているような事業主の方は気をつけなければいけません。
②小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者や一定の要件を満たす非営利活動法人が、相次いで起こる制度変更に対応するための経費の一部を補助する補助金です。地域の雇用や産業を支える小規模事業者の生産性向上などを目的としています。
飲食店が申請する場合、従業員が5人以下の店が対象となっており、補助上限は50万円〜200万円となっています。
この補助金を申請する場合、事業場内最低賃金をその地域の最低賃金の30円プラスの水準にすることが要件となっているので注意しましょう。
③ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業や小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善を補助することを目的としている補助金です。
飲食店が申請する場合、資本金5000万円以下、常勤100人以下の法人または個人がこの補助金の対象となっています。令和5年は公募開始が1/11、応募締め切りが4/19となっているので、早めに申請しておきましょう。
補助上限は、従業員の数によって異なりますが、100万〜1250万円とかなり大きな額になっています。
ただし、この補助金は申請要件が他の補助金よりも多いのが特徴です。
事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加や事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加など、他にもあるのでしっかりとした事業計画を立てて申請しましょう。
◾️備品を中古で購入する
備品を中古で購入することは、開業資金を節約するために、最も簡単にできることだと言えます。
例えば冷蔵庫や調理器具などは、お客様の目につかないため、中古で揃えてしまってもお店のコンセプトを崩すことはありません。他にも倉庫の棚や従業員のロッカーなど中古で購入できるものは購入してしまいましょう。
実際に、個人事業主の50%以上が、開業資金を節約するために備品を中古で購入しているというデータがあります。
◾️既存の物件を使用する
店舗を用意する場合、既存の物件を再利用するという方法でも、開業資金を節約することができます。「居抜き物件」と呼ばれる物件です。
スケルトンの物件を利用する場合、店舗に作り替えるための内装工事は、大掛かりなものになります。しかし、同業者が以前使っていた物件を利用することができれば、内装工事は少ないため、工事費もその分節約することができます。例えば、飲食店なら、調理場や客席は既に用意されていることでしょう。
◾️人件費を削減する
店舗経営において、人件費は大きな出費のひとつです。そのため、この人件費をうまく削減することができれば、低投資での開業につながるでしょう。
この場合多いのは、最初は家族に手伝ってもらうという方法です。実際に20%以上の個人事業主が、初めは家族に手伝ってもらったと回答しています。
初めに従業員を多く雇って、もし経営が軌道に乗らなかった場合、その分の人件費は経営を大きく圧迫することになります。家族であれば、利害がそこまで関係してこないため、最悪お給料の支払いを延滞することなども可能でしょう。
しかし、家族が忙しくて手伝えないという方も中に入るでしょう。その場合は、あまり人を雇わなくて済むようなビジネスを選び、店舗作りをすることで、この問題は解決できます。
その最たる例が「ワンオペ営業」です。ワンオペ営業とは、従業員が一人で店を運営しているという状態を指します。この場合、店舗に必要な従業員は一人で良いため、かなりの人件費削減に繋がります。
しかし、ワンオペ営業には、メリットもデメリットも存在するため、決断する前によく考えましょう。
(▱ 飲食店のワンオペ営業とは)
◾️ゴーストレストランとして営業する
もしあなたが飲食店を開業したいと思っているのなら「ゴーストレストラン」として開業することが最も初期費用を抑えられる方法だと言えます。
ゴーストレストランとは、実店舗を持つことなく、デリバリーのみで料理を提供する営業形態を指します。ゴーストレストランは元々ニューヨークで生まれましたが、コロナ禍のデリバリー需要の増加に伴い、日本を含む世界各地で注目されました。コロナが落ち着いた現在でも、いまだにその需要は伸び続けています。
飲食業の開業資金は、実店舗をもつ場合、1000万円以上が一般的です。しかし、ゴーストレストランとして営業する場合、開業資金を約50万円〜300万円まで抑えることが可能になります。これは、客席をもたないため、自宅でも開業することができたり、その分人件費を削減することができるためです。
(▱ ゴーストレストランとは)
また、ゴーストレストランで開業を考えている方は、ぜひhuriuri(フリウリ)を活用してみてください。
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ここまで飲食店の開業資金の相場、なぜ開業資金が少ないといけないのか、開業資金の調達方法、どうすれば安く抑えられるのかについて解説してきました。
開業後、お店を軌道に乗せられるかどうかは、事業計画のうちに開業資金にどのような費用がかかるのかを知り、開業後のコストまで含めた金額を計算しておくことが大切になってきます。
事業計画を立てる際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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